「ええ、有能且つ人気を博した物書きですよ」

「その中で特にお気に入りは?」

「そうですね……」

 歩きながら考慮してからカルシラスト様は視線をメーリアさんに向け言葉を放った。風が涼しく、近くを走り回る子供たちは薄着だ。

「ああ、それ、テレビで話題になっているって聞きましたわ」

「ええ、書評が放映されているのを私も見ましたとも」

 だんだん、自分の存在感が希薄になっていくのを察知した。薄暗いキャラクターのせいかしら? 試しに私も話にくいこむかな。