Villainess’s Sweet Everyday
Lesson 818.
「マリカナさん、両方の頬に蚊でも止まっていましたか? くすくす」
「メーリアさんって、確かお付き合いしている方が?」
目を丸くしたメーリアさんはコホンと咳をしてからこう言う。焦ってる焦ってる。
「いえ、ただの噂ですわ。それは、まあ、お人の悪い、マリカナさん」
「確か許嫁とか??」
口をポカンと開け、閉め、歯ぎしりしながら、こちらを睥睨する、メーリアさん。あの噂って本当なのね? でもあの恰幅のいいのと……なんだかかわいそうね。