空には雲がところどころに姿を見せ、存在を誇示し始める。どこまでも白い雲。存在感が希薄だったころとは惜別したのか。喧嘩が勃発し、青空と雲が対抗心を示唆し己の持ちうるアビリティーのリミットをこえてバチバチ、刀をぶつけるように争っている。

 道行く人はどこか忙し気だ。小走りの人も多いし、自転車を飛ばす人もいる。バスもどこか速力が高い。馬車が地面からはねはね進む。私たちも歩く。しかし、どこか浮世のうんざりぎみだ。ああ、速く早く。どうしたらいいのだろう。