私は目を見開きつつ、足を些少、ふるふる小鳥のように震わせながら、自転者に一歩一歩近づく。目の前まで来た。一見して普通の自転車だわ。もう口も開いていない。さっきみたいにパカパカ開いたらどうしようと、逡巡し、なかなかまたがろうという気が燃え出てこない。ガソリン不足かな。点火プラグで爆発が起こらず、ピストンが動かせられないと言うところ。

 私は手を伸ばした。噛みつかれまいか、襲われないか、怖く、口もへの字になって要るっぽい。