「まじで美味いな!ただ焼いただけなのに!」

「お肉自体、野営の時のスープのしか知らないけど、このお肉食べると他のが食べられないんじゃないの?、本当美味しいわ」

「おいしいよー!!!B級のお肉なんてC級に上がった時に、お祝いで一人前を分けた時以外食べた事なかったよ!!!ありがとトシ君!!!」

「…これは凄いわ…でも、あの祝勝会の時より明らかに美味しい…」

「だね、調理法とか関係なく根本的な肉の違いなんだろうね、同じB級のお肉でも、ここまでの違いが…今まで食べたお肉とは比べ物にならない位に美味しいです」

なんと半分で足りると言われた分をすべて食べきってしまった…メリルがお茶を配ってくれるが動けそうにない

「…僕もう動けない…」

「…うちも…無理…」

「みんな食べすぎですよ、余った分は少しずつでも、みんなに分けてあげようと…あ!何でもないです!トシ様!気にしないで下さい!本当に本当に何でもないんです!」

「いやいや、孤児院の子供達の事だろ?今回の依頼だって孤児院の為に無理をしたんじゃないのか?」

「…メリル…あなたね…トシさんは絶対心配するから、気を遣わせない様にって3人で話したでしょうが!!」

「…ごめんなさい…凄く美味しかったから…一口でもって…ごめんなさい…本当に…ごめんなさい…」

「なんだ?俺はそんなに冷たそうに見えるか?」

「「「ちがう!ちがうの!!」」」

「意地悪言ってごめんな、でもな、ちゃんと気持ちを伝えて、伝えて貰えた相手なんだぞ?俺にだってできない事なんていくらでもある、できる事の方が全然少ない…。今回の事で言えばだが、売ってお金に換えるからブラックファング全部くれって言われたら断るさ、でも違うだろ?3人が優しい子って事はちゃんと気が付いてるつもりだぞ?」

「「「…はい」」」

「街の今の状況聞いた時にさ、俺に力があれば…すべての孤児を救えるかもとか思ったけど…実際は力があっても、すべてを救うなんて事、俺には無理だ…でも手の届く範囲の…俺の大切な人の手伝い位はやらせてくれないかな?」

飛びついてきた3人を抱きしめながら、気持ちが落ちつくまで…夕日が作る影は1つのままだった…