城へ正式に呼ばれた……魔国への使者の件だろう。普通にギルドで依頼との訳にはいかないらしく、俺は戦いをしていた……

「なぁ本当にこれで行くのか?」

「……似合ってます」

「嘘だろ!?七五三見たいに無理に着せられてる感半端ないんだが!おい!ニヤニヤしてんぞ!」

「ご主人様……大変お似合いですよ……ぷぅふ」

「ノア!笑ったろ!最後!我慢できないで笑ったろ!」

タキシードというのだろうか……生まれて初めてだ……しかもなんか頭髪料でガチガチに固められた七三……これが正装なのか?

「これもどうぞ……」

「メガネ?……もうなんでもいいか……どうだ?」

「……言葉になりません……くぅふ……」

「耐えられてないからな!」

最後に渡された丸メガネも装着したまま、部屋から出てリビングに行くとそこには……

「……」

「なにか言ってよ///」

「……綺麗だ」

「///……ありがと///」

そこにはドレスで着飾ったルナが……黒メインで所々に赤い刺繍の入ったドレスだった。

「…ヒカリも着た」

「……ヒカリも綺麗だ」

「…ありがと///……トシは変」

「そうね……変ね……ノア?遊びすぎ」

「向こうでは正装時タキシードにメガネ、七三は基本です」

「そうなの?変な正装ね」

「…半分位本当だからうまく言い返せない……けどトシには合ってない」

「はい」

「ノア!はいってなんだよ!肯定してんじゃねーよ!」

「申し訳ありません、メイドとしてお世辞で似合ってると言ってしまいました」

ノアはかなりフリーダムになっている……昔はいたずら好きだったからそっちの顔がちょくちょく出てきた。

「俺はなんでもいいんだけどどうする?」

「そうね……やっぱり直しましょう!時間がないから会議室行くわよ!」

「へーい」

「…ヒカリもヒカリも!」

「当然メイドの私も」

今日城に呼ばれているのはクランリーダーの俺とサブリーダーの一人であるヒカリ、実際に依頼を受けるルナの3人と傍付きとしてメイドのノアだ。フィアは城で準備している。3人に着せ替え人形として遊ばれた……準備が終わり部屋から出て気を落ち着ける為にコーヒーを1杯……旅の前にグレミオに貰ったやつはスッキリとした後味で飲みやすい。

「あらルナもヒカリも良く似合ってるわね」

「ありがと、動きにくいけどね」

「…カオルも似合うはず、今度着させる」

「私はいいわよ!///」

「…トシが色々な意味で喜ぶ」

「……その格好で?これから城に行くんでしょ?」

「……予備」

「準備のいい事で……今度ね///」

「…ん」

「で……トシはなんでそれ?似合ってるけど……いいの?」

「知らん!俺の意思はない!」

「ん?!首の……クランの紋章?凝ってるわね」

「…首輪も見えない。最高の服、自信作!」

確かに奴隷っぽい首輪も隠れるけどさ……盾のマークに白と黒の龍が絡み合っているような紋章がクランマーク……みんなで決めた結構カッコイイと思う。

「///……としさん素敵です///」

「シズカ……本心なんだろうな……」

「本心ですよ!……黒学ランは最高です///」

確かに17歳の正装は基本学校の制服だろうが、それは前世での話だ、まさかこっちで学ラン着るとはな……

「///……トシさん?まだ時間有ります?……画像に残したいのですが……会議室行きませんか?///」

「エロ弟子、帰ってからにしなさい!」

「///はーい///」

「……帰ってからな」

「やった!」

「…やった!」

「ヒカリもか?」

「…多分全員参加になる」

「参加者はセーラー服もしくはブレザーの制服着用な」

「「「はーい!」」」

返事の数が多い気がするがそろそろ出発しないと間に合わない。城から迎えの馬車が来ているので4人で乗り込む。

「カズー事故るなよー!」

「馬車の運転はトシより上手いぞ!安心しろ!」

「こら!城からの正式な迎えなんだから言葉使いちゃんとしなさい!」

「はい!アヤコ様すみませんでした!」

迎えの御者がカズ、護衛としてアヤコさんが来てくれていた。正式ってだけで堅苦しいが知り合いが迎えに来てくれた事で少しだけ気が楽になった。