Alchemist Yuki's Strategy

Episode 30: Treasure Dragon Damos Three Demons Strike

続いて、シルバードラゴンのミルちゃん。

彼女は基本的にブレスを吐いたり鉤爪や尾で攻撃したりと、ドラゴンとしてはオーソドックスな戦い方をしているが、良く見るとその動きは非常に洗練されている。

独自の体術を使うらしく、『魔力操作』の練度もかなりの物で、自由自在に虐殺している。

やはり、元竜王は伊達では無いと言う事だろう。

元ネズ君の、元カピ君の、現ラグ君は、現時点ではラーグラーキングと言う種族である。

鋭く長い爪を持つ彼は、何やら盛り上がった筋肉質な体を持ち、『魔爪』や『魔拳』スキルに『体術』や『爪牙術』、『身体強化』のスキルで、武術で敵を屠っている。

なんと言うか、かなり独特な種族である。

だがまぁ、その強さたるはかなりの物で、特に『魔拳』で複数体を一気に屠る姿はちょっとカッコいい。

偶に齧歯類の本能が刺激されるのか『魔牙』を使って攻撃している。

エレメントウェポンクラブのクリカは、元来の強固な甲殻のおかげか財宝魔物の物理攻撃や魔法攻撃を物ともせず、巨大な剣鋏や鎚鋏で敵を屠っている。

『光線』スキルの攻撃は、複数属性で大量の財宝魔物を纏めて薙ぎ払っていた。

まさに小結晶大王蟹(リトル・クリステア・アークキング・クラブ)。

タイラントリザードのモルドは、鋭い牙や爪による攻撃が得意で、巨体を使った一撃はかなりの物。

ブレスを吐く事も出来、蜥蜴と言うかむしろ亜竜である。

進化したイェガは、体の大きさが一段上がり、大型化した体の至るところにギミックが仕込まれている。

元のドリルも健在で、財宝魔物を財宝毎粉砕していた。

勿体無い。

リッドは蜘蛛さんにくっ付いて、その体を要塞化していた。

八つの足にはそれぞれ鋭い鉤爪が装着され、毒液は加速装置付きの毒弾丸に、弱点となる腹部分には巨大な鎧が装着されており、地面から拾い集めたらしい石の散弾をぶっ放している。

弱点補助と言う点ではリッド程心強い者はいないだろう。

ネロは、頭が二つになってその両方の口から赤黒い炎を吐いている。

体格も随分と大きく、戦う様は凄惨の一言。

火属性や闇属性の魔法も使える様で、飛び交う球体や槍が財宝魔物を破壊している。

スライムエンペラーズは、ばらけて個体別に敵を襲っている。

力量的にはただのスライム軍団でしかないが、やはり数が多いので戦果も多い。

三巨像さん達は、大きいだけでなく聖属性に特化している純天銀製の肉体を持ち、不浄を相手にほぼ無敵。

そもそも体が金属製だから物理的手段ではそうそう傷付ける事は出来ない。

続いて人型の子達だ。

うさーずは、以前見た人型の光では無く、完全に少女の姿になって戦っている。

殆ど僕にそっくりで、服はそれぞれの色のワンピースみたいな物を着ている。

戦い方は以前と同じで、炎の爪や風の剣、水の弾丸で敵を駆逐していた。

レイエルは、6本の触手で襲い来る敵を自動迎撃しつつ、水の広範囲魔法を放っている。

種族的にはレイーニャと同等でも、知識や研鑽では圧倒的にレイーニャの方が上だ、今度水属性の禁呪『大津波(アーク・タイダルウェーブ)』を教えよう。

ニュイゼは、土の蛇を大量に使役して、本人は嵐の槍で敵を屠っている。

『配下創造』のスキルは中々に使える。と言うか、原理的にはダモスがやっている事と同じなので、敵対すれば脅威的と言えるだろう。

ニュイゼの場合は、生み出す魔物の格が三段階ある様だ。

小型の蛇『マギクラフト・ソイルスネーク』、大型の蛇『マギクラフト・ビックソイルスネーク』、超大型の蛇『マギクラフト・ジャイアントソイルスネーク』。

小型は無詠唱で大量に生成可能で、大型は呪文のみで1匹、超大型は数分の詠唱で1匹、その上持続時間も短めだ。

槍捌きはあまり上手く無く、とにかく接近されない様に立ち回っている。

どうやら魔法使いが基本スタイルの様だが、スキル構成的には接近戦も出来る筈、単純に人型に慣れていないだけかな?

アークズメイは、形状が二足歩行の竜であり肉弾戦が得意の様だが、左右の二つの首からは魔法やブレスが放たれ、前後左右上下共に一切の隙が無い。

ブレスは、竜王の吐息や腐竜王の吐息の効果か、片方は強力な炎のブレス、もう片方は強力な闇のブレスを放っていた。

また、彼も『配下創造』や『分裂』のスキルがあり、複数の土で出来た蛇や蜥蜴、『マギクラフト・ソイルスネーク』『マギクラフト・ソイルリザード』を従えていた。

どうやら体液を使って生成された個体は他よりも強力らしく、わざとダメージを受けて血を撒き、強力な個体を生成したりしている。

しかし、元の防御力が高いせいかあまり血が出ず、もっぱら蛇の頭が唾液を撒き散らしている。

中央の首はその様を見て無言で一瞬停止したが、直ぐに戦闘に戻っていた。

ルーベルとミュリアは、形自体は同じ狼人型であるがルーベルの方が思考がより人間的らしく、ルーベルは二足歩行で『魔爪』を使って戦うが、ミュリアは基本四つん這いで戦っている。

ルーベルは時折ミュリアを立たせようとしており、チラチラと僕や氷白の方を気にしている、しかし、ミュリアは見た目こそ人型だが、思考は完全に獣っぽい様で上手く行っていない。

僕が見ているのに気付くと、慌てた様にミュリアを後ろから羽交い締めにして立たせていた。

ミュリアはミュリアで僕に気付くとこれでもかと尻尾を振っており、舌を出して興奮している。

とりあえずそのまま戦う様に指示を出しておいた。

サンディアは、『操血魔法』と『操影魔法』を使い、手に持つ剣を楽しげに振り回して敵を屠り続けている。

元々怪力なのと剣の質が良いので、容易く財宝魔物を切断していた。

氷白と冬将軍はタク達の補助をしており、氷で壁を作ったり敵の足を氷らせたりしている。

冬将軍は腕が複数あるので高位や中位の財宝魔物を率先して屠り、下位の物を間引いていく。中々に甲斐甲斐しい。

氷白は偶に中位財宝魔物を紛れ込ませている。

気付いていない訳では無いだろうし、やはりスパルタ教育なのだろう。

配下に関してはこんなところ。

正直に言って、期待していた以上の力を見せてくれていた。

これなら僕自身が戦わなくても良いと言うか……まぁ、普通のテイマーやサモナーはそう言う物か。

僕としてはありがたい限り、問題は彼らの実力を最大まで発揮出来る最高の狩場が無い事か。

次はタク達の確認だ。

と、言っても、特に見所がある訳では無い。

先ず敵の財宝魔物の基本性能だが、体を形成しているのは土や石、骨粉。

防御力が高く再生スピードが早い、だが動きが遅く、魔法攻撃も予備動作が分かりやすい。

その上、タク達と接敵するのはおおよそレベル20〜50くらいの弱い奴。

タク達は武器の性能が極端に高いので、レベル高めの敵相手にもほぼ無傷。無理せず削り続ければ余裕で勝てる状態だ。

特に不浄や闇属性の相手だと聖剣持ちが多いタク達は常に有利。

もう少しスパルタにして良いかもしれない。

中位を相手にしているのは、主にタク、センリ、アヤ、アラン。

実力的に余裕で対応している。

セイト、マガネ、ケイ、ミサキ、の戦力的に今一歩劣るのも中位を相手にしているが、死を恐れず殴り掛かってくる財宝魔物相手に少なからずダメージを負いながら戦っている。

彼らにとっては良い訓練になっている事だろう。

一番ダメなクリアは、ひたすらに下位の財宝魔物を相手に爆裂鎚で粉砕しまくっている。

報酬の分配は、経験値がプレイヤー組全員の均等分配、金銀の古貨幣は一度僕が浄化した後の出来高制。

これでタク達も大幅なレベルアップが出来るだろうし、お金もがっぽり稼げるだろう。

今後の首都防衛を考えると、兵士やプレイヤーの質を向上させる必要がある。何か手を打たなければならない。