Alchemist Yuki's Strategy
Episode 12 Yes, all the masterminds...
迷宮核(メイズコア)の設置場所には、レベリングエリアのステージ5をクリアしたら行ける様になる。
ステージ5のオーク達を倒すと、中のスペースに無駄に余裕のある、無駄に大きな鉄の宝箱が出現する。
その宝箱は、インベントリでの回収が原則不可の『施設』であるが、ステージ5の宝箱だけは前にスライド出来る仕組みとなっている。
非常に重い宝箱を動かすと、宝箱によって隠されている階段が出現するのだ。
視覚では完全に隠されているが、空気の流れや音の反響を注意深く調べていれば、宝箱の下に空間がある事が分かるだろう。
そんな隠し階段を下って行くと、小部屋に辿り着く。
小部屋には、中央に整えられた噴水と水路があり、その中心に青色の大きな水晶が設置されている。
水路に流れている水は、生属性の魔力、即ち生命力が込められた魔水だ。
飲んだり浸かったりすると傷が癒え、万全の状態になる。
そして入り口の正面には大きな門があり、大広間へと続いているのだ。
門の先の大広間は、無駄に豪華であり、薄暗く広い空間。
其処のボスを討伐すると、最後の門が開き、迷宮核(メイズコア)がある小部屋へ行ける様になる。
件(くだん)のボスとはーー
ーー『ユキ(死神ver.)』レベル426。
尚、門は重いだけで開けられる仕様だ。……非常に重いだけで。
これで取り敢えず迷宮は完成だ。
1日の供給量はまだ多く無いが、少しずつ迷宮の範囲を広げて、魔物の数を増やして行こう。
◇
……さて、ちゃちゃっと作っておいて何だが、モンスターカードと言うのは割とかなり有用なアイテムでは無いだろうか?
魔導生成(マギクラフト)で生成された魔物は、パーティー編成で1人として数えられる事は無い。
何故なら、魔導生成(マギクラフト)と名の付く魔物は、厳密には魔法であるからだ。
即席生命(インスタントライフ)や偽装生命(フェイクライフ)と名の付く魔物は、擬似的に魂魄を生成されているので、パーティー枠を使う事になる。
しかし、魔導生成(マギクラフト)は枠を使わずに使役出来る。
指揮、統率、連携のスキルが無くても軍団を組む事が出来る訳だ。
パーティー問題を解決しつつ、強い魔物をパーティーに入れる事が出来る。
これはつまりーー
ーー召喚術や従魔術が更に不遇になると言う事だっ。
……まぁ、魔導生成(マギクラフト)の魔物は成長しない上、召喚するのに生成分の魔力が必要になる。
存在していられる時間にも制限があるし、命令は聞くが自主的な行動はしない。
出来る者からしてみれば不便この上ない代物と言えよう。
逆に言うと、出来ない者からしてみれば結構便利な物だと思う。
ともあれ、モンスターカードはこのままで良いだろう。
ついでに、迷宮の最初の広間へ新しい施設を設置する。
施設の出現条件は、『誰かがモンスターカードを入手したら』。
施設では、手数料と資材を払ってモンスターカードの強化と進化を出来る様にする。
その他に、最下級クラスの魔物を生成出来るモンスターカードの販売とか良いんじゃ無かろうか。
……ペットとして。
因みに、其処の店員は死神(ぼく)である。
ラスボスも僕、店員も僕……。
……まぁ、それは置いといて。
独占市場な上、攻略者側がイージーモードになると魂の成長が見込めないので、モンスターのレベルアップ代金は高めに設定する。
支払いはマナ貨幣を予定しているので、兵士さんなどのプレイヤー以外向けにマナシールリングも販売しよう。
他にも、自作出来る物で良い物があったら、随時ラインナップに加えて行こうか。
取り敢えず、迷宮は完成したので、さっそく開通させるとしよう。
最初は派手に行かないとね。