Alchemist Yuki's Strategy

Episode 4 Yuki, Seriously......?

「ふむ、成る程」

純結晶(トゥルークリスタル)を軽く調べてみた所、ある事実が判明した。

順を追って整理して行こう。

先ず、純結晶(トゥルークリスタル)とは、その名の通り、純粋な魔力の結晶の事だ。

白死竜茸の純結晶(パフィニョントゥルークリスタル)だと、パフィニョンの魔力のみで構成された純結晶(トゥルークリスタル)と言う事になる。

通常の属性結晶と異なる点は、単純に言って『密度』である。

米粒大の純結晶(トゥルークリスタル)は、それだけで初期型パフィ子を生成出来る程の魔力が込められている。

具体的には、僕の魔力保持容量の1割以下だ。

以前大海魔を退ける際に使った火の矢は、あれだけで僕の魔力保持容量と同等の魔力が込められていた。

火の矢が純結晶(トゥルークリスタル)で作られていたら、爆発の余波で王都一帯が蒸発していただろう。

純結晶(トゥルークリスタル)は他の高位アイテムと同様に、周囲から魔力を吸い取って属性魔力に変換する能力がある。

大気中から魔力を吸い取り溜め込む能力は、どんな物質にも存在している力ではあるが、即座に属性を変換するのは高位の物質のみなのだ。

要約すると、純結晶(トゥルークリスタル)は属性結晶よりも高価な代物、と言う事である。

さて、その高価な純結晶(トゥルークリスタル)だが……実は今の僕なら作成可能なのだ……!

作れる属性は、僕が持つ属性スキルと同じ『水』『闇』『森』、それから『僕』もとい『銀』。

これらに加え、配下の子達と共同作業をする事で他多数の属性純結晶(トゥルークリスタル)を作る事が出来る。

製法は簡単。

先ず、結晶化させたい魔力を僕の目の前に集める。

次に、感覚を魔覚にシフトさせる。

最後に、僕の魂魄で結晶化させたい魔力を圧縮する。

これで純結晶(トゥルークリスタル)が完成する。

単純な属性結晶ならば魔覚を発動させなくても精製可能だ。

最初に属性結晶を作ってから魔覚にシフトするとやりやすいかもしれない。

尚、『水』『闇』『森』以外の純結晶(トゥルークリスタル)作成には、精神力の消耗が過多であると予想されるので、もう少し時間を置いてから挑戦してみよう。

……さて、ここまでが純結晶(トゥルークリスタル)の研究データである。

要約すると、純結晶(トゥルークリスタル)は気合いで作れる。以上っ。

で、ここからが更に重要な情報なのだ。

白死竜茸の欠片(パフィニョンフラグメント) 品質A レア度5 耐久力A

備考:白死竜茸(パフィニョン)の力が込められた結晶体。

純結晶(トゥルークリスタル)を10個合成したらこれが出来た。

そして当然ーー

白死竜茸の晶珠(パフィニョンジュエル) 品質A レア度6 耐久力A

備考:白死竜茸(パフィニョン)の力が込められた結晶体。

ーーこうなる。

これらが意味する事はーー

「ーー……うん、宝珠(オーブ)作れるね」

と言う訳である。

実際に作ろうとすると、死神と戦った時と同じくらい精神力を消耗する事になると思う。

しかし、晶珠(ジュエル)の段階で十分に強力であり、魔導鎧(マギステルアーマー)の魔導核(マギステルコア)としては必要十分な量の魔力保持容量と処理能力がある。

もう少しレベルを上げ、魂魄自体の密度を上げれば、もっと簡単に純結晶(トゥルークリスタル)を作れる様になるだろう。

……なんだかとってもレベル上げたくなって来た。

まぁ、取り敢えずは報酬の確認が先だが。

と言う訳で次、第4試練の報酬。

入手した武具は5つ。魔導鎧(マギステルアーマー)の武装は2つ。

先ずは銃。

アサシンの名の通り、見えない銃である。

弾は魔力で精製された魔法の弾で、その弾丸自体にも不可視の力が込められている。

作成可能な弾丸は、

突属性の魔力で作られた『貫通弾(ピアースバレット)』。

着弾と同時に竜属性の魔力が弾ける『竜撃弾(ドラグカノン)』。

特に何の効果も無い『不可視弾(インビジブルバレット)』。

の3種。

銃の力で作成出来るのはこれだけだが、自力でならどの様な弾丸も作成可能だ。

次に尾骨剣。

これは天帝竜の尾を使って作られたと思われる不可視の大剣である。

一体何処から天帝竜の尾を持って来たのか甚だ疑問だが、神なんてそんな物だろう。

僕だってやろうと思えばレベル200程度の魔物なら0から作成する事が出来る。

神と呼ばれる存在なら天帝竜ぐらいポンポンと……作れるかな? ……作れたら死神をコロセナイ。

能力は、刀身が自由自在に変形すると言う物。

不可視な上に伸縮自在、そして形状も変わると言う初見殺し、達人殺しの武器であった。

刀身自体が強力な竜属性を纏っているので、峰打ちでも大ダメージは必至、腹にあたっても大ダメージ。凶悪な武器だね。

次、群星銃。

これは、木の葉の様な形をした浮遊する銃である。

勿論不可視であり、合計で100機存在する銃を自在に操り敵を追い詰める。と言うコンセプトだろう。

打てる弾は『小竜撃弾(ドラコカノン)』と『不可視弾(インビジブルバレット)』。

遠隔操作が基本なので、弾丸精製の魔法機構を改良しない限り、別の弾丸を込める事は出来ない。戦闘前に先に込めておけば可能だけどね。

魔導理論結晶(マギ・ロジック・クリスタル)は、例によって魔導核(マギステルコア)に魔法機構を刻み込む為の結晶。

続いて防具、魂と名のつく涙滴型のそれは、いつも通り詳しくは分からない。

鎧は不可知天帝竜(ハミリオン・インペリアル)を模した透明化出来る鎧。

魔力で尻尾や鉤爪、翼を精製する『竜化』が可能。

角は、そのまま角だった。

天帝竜はカメレオン系の魔物から進化した種だが、3本も角が生えている。

3本角が生えているカメレオンには心当たりがあるのだが、天帝竜は内2本が後ろを向いている。

換装で装備すると、やたらと長かった角が短くなり、額とこめかみの辺りに装着された。

効果は不可視化に加え、不可知天帝竜(ハミリオン・インペリアル)の属性魔力を行使可能になる。

つまり、不可知天帝竜(ハミリオン・インペリアル)の純結晶(トゥルークリスタル)を作成出来る様になると言う事だ。

本来の用途は、鎧と一緒に装着して不可知天帝竜(ハミリオン・インペリアル)を再現する事だろう。

最後は、不可知天帝竜(ハミリオン・インペリアル)そのもの。