Alchemist Yuki's Strategy

Episode 91: Home Grief

メイドさんに案内されて向かった場所には、リベリオンのメンバーが数十人、豪勢な飯を食っていた。

道すがらメイドに色々と話を聞いた所によると、どうやらリベリオンは封印されていた邪神の一体を倒した事になっているらしい。

そして此処は王城の一角、国外の使者を歓待する為の場所だとか。

勇者様とはそう言う事か。

それと邪神の一体と言う事は、あんなのが他にもいるのか?

「おーい、ユウイチ君」

「おう」

こちらに気付いたユウゴに呼ばれ、その横に腰掛ける。

料理類はバイキング形式で持ってくる様だった。

「ユウイチ君は何が食べたい?」

「あー、肉?」

「分かった、取ってくるよ」

「……頼むわ」

ニコニコと微笑みながらユウゴは料理を取りに行った。

漂ってくる良い匂いに少しソワソワしながらも、ただ待つ。

程無くして運ばれて来たのは、実に美味そうなステーキだった。

「この匂いは……」

「びっくりだよね」

この何処か懐かしい香りはーー

「ーー醤油、なのか……?」

誰に聞くでも無い俺の問いに、ユウゴは笑みを深めた。

「肉を取る為だけに育てられたバルのヒレ肉を使ったステーキ。ソースは醤油ベースにお酢とニンニクもどきだってさ」

「ゴクリ」

最早言葉はいらなかった。

「ふぅ……感動した。シェフを呼べ」

「はは、皆良く食べるよね。かく言う僕も色々と食べ過ぎたけど」

ステーキは美味かった。

米がある事に感動した。

後から運ばれて来た、味噌汁を飲んで泣いた。

どうしても思い出せない家族の顔が、一瞬だけ見えた気がした。

周りを見れば、リベリオンの転生者達は殆どが涙を浮かべ、現地民達はただひたすら美味い飯に興奮していた。

こんな物を食えばどうしても帰れない故郷を思い出してしまう。

抗い難い郷愁が、涙になって溢れて行く。

例え世界を越える程の転移能力があったとしても、故郷である日本、地球に帰る事が出来ないと言う事を、俺達は既に知っている(・・・・・)。

だから望郷の念を振り払い、前に進むしか無い。

「……ユウゴ、状況説明を頼む」

「うん」

先ず聞きたかったのは、邪神がどうなったのか。皆は無事なのか。

その答えは予想通り、そして期待通りだった。

ーー邪神はスズノミヤマシロの手によって討たれた。

リベリオンのメンバーは、まだリエ、アケミ、ティアーネ、エリザベートが目覚めていないが全員が無事との事。

そして、邪神討伐の栄誉はリベリオンに渡す様にスズノミヤマシロが国へ指示を出したらしい。

そしてこの料理を提供したのもスズノミヤマシロなんだとか。

……スズノミヤマシロ本当にすげぇな。

「情勢や今後の詳しい話は、明日の朝、食後にスズノミヤマシロさんがしてくれる事になってる。それまでは何も考えずにゆっくり休んでおくようにってさ」

「そりゃありがたい。流石にちょっと気怠いからなぁ」

一日も休めば十分回復するだろう。

色んな気になる事を明日全部分かるなら、今日はゆっくり休んで英気を養っておこう。

「因みに料理は毎回このレベルで、他にも大浴場やちょっとしたゲームコーナーもあるみたいだね」

「マジですか」

至れり尽くせりじゃ無いですか。