Alchemist Yuki's Strategy
Episode 188: Lord of the Great Labyrinth
東方の迷宮踏破で得たスキルポイントは145P。そこに選択報酬等で得たスキルポイント26P。負に侵された魔物の討伐報酬で28P。神子結晶173個。
レアなアイテムは……大迷宮4つの踏破報酬で、魔晶核4個。鎌鼬の鎌腕甲。アラビスの毒尾。天災の指輪(カラミティリング)。霧の羽衣。
入手した魔物は、鎌嵐。アラビス。天災の手(カラミティハンド)。幽玄の霧(ミスティックミスト)。
鎌嵐は、ウチカゼ、カマカゼ、ナギカゼと言う三体の魔物の事である。
肉体は3つで魂は1つ、めーたんやクリスちゃん同様の多重人格型である。
其々が其々の役割に特化しているので、戦闘力で言えば同レベル帯ではトップクラスの力を持つ。
まぁ、根幹が同じなのでエネルギーの絶対量も同じであり、個々の戦力で見ると同レベル帯では最下位クラスであるが。
ともあれ、一度に出せる出力、もとい瞬発力は最高峰なので、後はエネルギー問題を解消してあげれば十二分な活躍を期待出来る。
ウチカゼは棒の様な腕を持ち、高速で敵を殴る。カマカゼは鎌の様な腕を持ち、高速で敵を切り裂く。ナギカゼはモコモコした腕を持ち、高速で敵を撫でて行く。
一見するとナギカゼがやっている事は良く分からないが、その実毒や薬を使った援護をしているので、結構重要な役割を担っているのだ。
流石に大迷宮のボスとなると、レベルも450〜550程であり、仙人達やロッテでは荷が重いので、精霊帝達にも活躍して貰った。
高速でモコモコされたのはベスタの奴である。
鎌や棍の攻撃だけ華麗に逸らし、モコモコだけ受けると言う……楽しそうで何よりだよ。
差し当たって腕甲はベスタ預かりにしておく。
鎌嵐は風の守巫女(ハルケリツェーレ)に所属させよう。
アラビスは、巨大な蠍の魔物だ。
非常に堅固な甲殻。
自在に動く3本の尾と大地をも腐らせる猛毒。
薄い膜状の羽で空を飛び、金属塊を容易く切断する鋭い2本の鋏と、砂塵や毒液などを飛ばす魔法用の2本の鋏を持つ。
尻尾を伸ばした時の体高はおおよそ100メートル以下で、横幅も同じくらい。ただし、鋏と尻尾を伸ばした時の全長は300メートル近い。
この大きさでホバリングするんだから飛行スキルは凄いね。
アラビスの毒尾は、装着すると蠍の尾が3本生えて来る謎のリング。
3つの穴が並んだ謎のリングは、腰の辺りに装着可能で、添えると吸い付いて固定される。
取り敢えずララに預けるので、樹精達で回してみて欲しい。
天災の手(カラミティハンド)は、文字通り手だ。
血に濡れた様な真っ赤な爪に、毒々しい青紫の甲殻を持つ、一見すると生物には見えない大きな左手。
特に顔の様な器官は無く、一応コアはあるがそれがイコール弱点と言う訳では無い。
つまりは、精霊や悪魔と同じ、精神体(スピリチュアルボディ)を持つ魔物と言う事である。
このタイプの魔物は、おそらく一定以上の強者の手が千切れ、それがそのまま魔物化し、種族として定着した様な魔物だ。
この魔物は、迷宮が生み出すか本体が分裂するかしか増殖方法が無いだろう。
主な戦闘方法は、空間転移による奇襲。握り潰したり爪を使って空間毎切り裂いたり出来る他、基本の属性魔法は全て使用可能で特に闇の属性と相性が良い。
もしかすると、この魔物の本体は悪魔の類いなのかもしれない。
頭は無いが人間並には知能があり、小型化したり普通の手に化けたり出来るので、隠し持つのに適している。
また、本体の魔物の性質故か、分裂出来る。
ちょっと見た目がアレなので子供達には見せられない。と言うか、普通の手になってもそもそも片手しか無いし、何の意味があると言うのか。
取り敢えず、人繋ぎの双輪を解析して人に化けられるアイテムを量産するまでは、文字通り僕の手となって活動してもらおう。
指輪は装備者に天災の手(カラミティハンド)と似た様な力を与える物なので、負担軽減の為にも天災の手(カラミティハンド)に装備させる。
幽玄の霧(ミスティックミスト)は、そのまま霧だ。
幻覚魔法を使う事が可能で、霧の中であればその幻覚は本物になる。
更に生み出した幻覚を具現化する創造能力を有しているので、仮に霧の外へ逃げ出しても、追い掛けて来た敵が具現化された本物だった場合は当然外まで出て来るのである。
特にコアとなる物質は無く、霧の粒子一つ一つが本体であり、討伐は非常に困難。
ただし、移動が苦手で魔法攻撃に弱いので、広範囲の魔法を撃てば大きく霧を削る事が出来る。
餌として高濃度の魔力水を与えればどんどん増えるので、拠点防衛に運用する際は噴水を作ろう。
尚、本人曰く、強い風、台風などが直撃するとマジでヤバイらしい。
勿論密集すれば耐えられる様だが、鈍いので幾らかは吹き飛ばされて、多くは台風の魔力に殺されて霧散する様だ。
霧の羽衣は血刃と似た様なアイテムで、水を自在に操る事が可能になる。血刃同様それそのものが水である。
その性質上霧君と相性が良さそうなので、換装で無理やり装備させてみた。
すると、人型に霧を凝縮させる事が出来る様になった。
まだシルエットにしか出来ないが、慣れて行けば完全に人になれるだろう。
その他無数のクエストをクリアした報酬は、スキルポイント21P。負の力の汚染を受けた魔物を一体討伐して1P。神子結晶22個。
レアアイテムは、鷲獅子王の戦旗。鷲獅子女王の戦旗。一角と言う名の槍。雄大なる連合旗。
魔物は、グリフォンアークロード老夫妻とその子供や孫、曽孫、玄孫、来孫、昆孫、仍孫、雲孫、その次。グリフォンだけで合計422頭。その内180頭がグリフォンロードだ。
アークロード老夫妻は、ロッテ製と思わしき聖宝の知恵の王冠を装備しており、ロッテとは面識がある様だった。
グリフォンはどうやら一定以上の群れの長になると肉体に変化が訪れる様で、片や燦々と輝く金色の体毛を持つグリフォン。片や静謐な輝きを纏う銀毛のグリフォンになっていた。
言うなれば、グリフォンキングとグリフォンクイーンだろう。
また、両者には角が生え、亜竜の性質が発現していた。
ざっと見た感じだと、両者は同レベルのグリフォンアークロードと比べて5割増しで強い。
グリフォンは空も飛べるし、かなり良い拾い物である。
他にも、ユニコーンの姫と一角馬の群れを捕獲した。
彼女等は大陸南東にあるクワガタ岬の東側で大規模な群れを成していたが、汚染された小迷宮から這い出て来た魔物の群れと戦い、若い連中とお目付役1人を逃して戦闘を開始した。
クワガタ岬の東は位置的に最東端の辺境なので、うちの子達は一番最後に向かった。
着いた時には既に多くの命が失われた後で、結局得られたのは一角馬51頭とユニコーン1頭、それから老いたダークネスホース1頭。
……と、見せかけて魂と遺体を回収済みなので更にユニコーン3頭と一角馬388頭にブラックホース41頭、ワイルドホース809頭。
術式だけ分かれば蘇生は可能なので、全て黒霧に任せてみよう。
あれこれ処理している間に、土精王の名前についても調べ終えた。
イテア・オルヴェナーニャ・ミネロラ・レヴァアルズ。
イテアは、古い時代に謳われていた神霊の一種で、世界を作った創世神の一柱、大地神イテアだ。
オルヴェナーニャは洞窟や迷宮の守り神、ミネロラは農業を司り畑に宿る精霊。
レヴァアルズは少し毛色が異なり、エヴァンスタ国内にある山の主を呼ぶ名前なのだ。
山を統べる者、即ち山の神、転じて自然の神とされており、レヴァアルズは時代によって変わる。今代は響針獣・ボーサ、トトがそれだ。
さて、もうそろそろ昼食の時間だから、イテアには起きて貰おう。