Alchemist Yuki's Strategy

Lesson 4 Yuki, Determined to Be a Queen

『七色の鎧と人形の城(ドールキャッスル)』。アナザー初めての公式イベントである。

イベント概要は、『人形の城へ攻め込み、強力な鎧を手に入れろ!』とある。

即ち、プレイヤーを強化する為に、先ずは防御力のアップに手をつけた。と言う事だろう。

イベント期間中は一部魔物からチケットがドロップするらしく、イベント会場へはそのチケットを使って行くのだとか。

どうやら、理法典や叛逆の追憶記同様に、インスタントな仮想空間が作られて、そこで戦うのだとか。

仮想空間内では時間が100倍に加速する様で、制限時間一杯まで戦っても1時間以内に終わるとか何とか。

……100倍に加速された1時間以上も戦うとなったら、最低でも4日以上も戦う事になってしまう訳だが。

また、チケットには幾らか種類があり、それによって人形の城の難易度や属性が変わるらしい。

ちゃんと詳しく書かれていないので、後は実際にやって試してみろと言う事なのだろう。

次、クリアしたクエストの確認。

【世界(ワールド)クエスト】

『救済:第一段階』

参加条件

・『アナザー・ワールド・オンライン』プレイヤー

達成条件

・一定期間内に評価点が一定値へ到達する

失敗条件

・一定期間内に評価点が一定値へ到達しない

・他

達成報酬

参加者報酬

・スキルポイント10P

参加者貢献度報酬

貢献度68%

・687,223P

全体報酬

・対象者増員

どうやら、またポイント消費型の報酬らしい。

選択可能な報酬の中に、5万Pで『ゲート:ギア』があった。

住所を入力し送って貰うらしい。

神事もあるので身内が集まって来るし、持ってない若い子達に配ろうと思い、折角なので12台購入した。

後は、第一段階クリア記念パック10Pで、下級のポーション2種が10個。中級が5個。上級が1個。結界石5個。携帯食3日分。金の犠牲の羊。と、ちょっとした塗り薬や丸薬などの薬類を購入。

選べる報酬に特に貴重な物が無かったのもあり、残り8万と少しは1P=100マナ貨幣で8,721,300マナになった。

多少は資金の足しになったと言えよう。

最後は、限定クエストとやら。

【限定クエスト】

『マレビト招聘』

参加条件

・領地を持つ

達成条件

・期限を過ぎる

失敗条件

・無し

備考:マレビト招聘に伴う各配分調整の許可。評価により報酬の変動あり。

マレビト〔0/90,000〕

ルベリオン王国:ルベリオン〔20,000/20,000〕

ルベリオン王国:ルステリア〔10,000/10,000〕

エルダ帝国:エルディノウド〔30,000/50,000〕

シャンディリア教国:シャンディリア〔30,000/30,000〕

スノー:スノー〔0/0〕

スノー:インヴェルノ〔0/2,000〕

スノー:神滅都市アトランティス〔0/0〕

スノー:イェガ〔0/0〕

「ほう?」

クエスト説明の下にある数字を見た感じ……僕の所有する町をプレイヤーの初期スポーン地点にする事が出来ると言う事らしい。

そして、評価が何を指すのか不明だが、良いと報酬が良くなるかもしれないとの事。

僕としては、まだ未踏のエリアである帝国とやらと教国とやらにプレイヤーを送るのは色々と怖いので、なるべく僕の手の内においておきたい所。

そして、報酬もなるべく良いのが欲しいと言うのは自明だ。

まぁ、つまり……やる事は決まった。

幸い民の候補にも地上の土地を使わない町の候補にも目星が付いている。

期限はおよそ6日。

それまでに僕はーー国を起こす(・・・・・)。

「さて……機神狩りだな」

「……おしゃけぇ…………」

「……」

もしかしてベルツェリーア……幼児退行してない?

取り敢えず、動作確認をしていたアバターを全てアバタースキルの能力で僕の中に仕舞い、ベルツェリーアを連れて空へと飛び立った。

差し当たって先ずやる事は、許容人数を増やす条件の確認だ。

目的地はインヴェルノ。其処に仮住まい中のエルフと妖精に協力して貰おう。

古都インヴェルノは不浄の王や死神等が良く棲みつく危険地帯だったが、その原因たる地下墓地(カタコンベ)の浄化を行なっている為、今後同じ様な危機に見舞われる事は無いだろう。

そんな古都インヴェルノは元々遺跡だった為に、先の死神vs.ダモスvs.吸血鬼の戦いで大部分が崩壊しており、とてもじゃないが人が住める環境では無い。

その上、遠目から見ると一際大きい建物が蜘蛛の巣になっているので余計にタチが悪い。

エルフ達がこんな場所でも暮らしていけるのは、妖精達が植物魔法で木を育てたりしたからである。

今は、レベル500以上もある強者、妖精女王リェニ・ローシェとその先祖で幼女のルェルァ・ローシェ。それからエイジュ・ルテールとエルミェージ・ルテールの英雄エルフ姉妹が全力で無秩序な住宅建築をやっている為、一部領域はとてもじゃないが人間と言う種族が満足に生きていく事は出来ない環境が出来上がりつつある。

とは言え、蜘蛛の巣と樹海となった区画は全体の四分の一前後なので、残りを綺麗に整えてやれば許容人数も増加するだろう。

そんな思惑の元、試しに遺跡となっていた区画の四分の一を解体、整理し、人が住める様な環境を整えた。

単純に家屋だけが立ち並ぶそれらはしかし、許容人数の数値をピクリとも動かす事が出来ず、まぁ良いかと管理用のゴーレムをセットした事で、許容人数が一気に二千名増加した。

この事から、マレビトを招聘するにあたり、住める場所があるだけでは不十分であると言う事を改めて確認した。

必要な条件は、おそらく『住める家屋』と『プレイヤーに道を示せる生物』もとい『住民』だと考える。

続いて、武器屋、防具屋、道具屋、宿屋、食事処等、プレイヤーを支援する施設を設置した所、許容人数が千名増加した。

支援が許容人数に関係するのならばと、狩場こと迷宮を設置したら、更に許容人数が増え、今やインヴェルノは六千名を許容可能な都市にまで成長した。

そんな訳で、およそ四半刻の建築検証により、条件の大まかな解明が完了したのであった。

要は、人が居て、家があって、マレビトを許容出来るだけの環境があり、ついでにマレビトの成長を支援する施設とマレビトの獲物となる魔物がいれば、許容人数は増加していくのだ。

その後更に四半刻、僕はインヴェルノの開拓を進めた。