Alchemist Yuki's Strategy

Episode 6: Malevito Invitation

《【限定クエスト】『マレビト招聘』をクリアしました》

《【イベントクエスト】【限定クエスト】『イベント招聘』が発令されました》

《【初心者(ノービス)クエ——

遥か天空から地上を見下ろし人の流れを見る。

マレビト招致直前に浮遊都市を出現させ、最終点検を終えたところで、いよいよその時は来た。

都市の上で小さな輝きが無数に現れ、同時に大量のクエストをクリアする。

例のシステムの神の配給だ。

それらを処理しつつ、いろんな都市に分散していた6人を光に紛れて誘拐した。

現れると同時に隠密を発動させて念動力で掻っ攫う。

逆フリーフォールだ。フリーじゃないしフォールでもないけど。

「「きゃぁぁぁーー!?」」

「ひゃぁぁぁーー!?」

「ひぅ………………」

「ぅぉぁ!? なになになになになに!?」

「……ぉぉ……ユキちゃん」

三者三様の様相を見せて僕の方に引き寄せられる皆。

勿論風魔法で音声はシャットアウトしている。

マシロは直ぐに僕の行いだと気付いた様で、平気そうな顔をしていた。

その間に、クリアした一部クエストの報酬を集計し終わった。

スキルポイントは合計354P。ロジックポイントのおまけが342P。

新しいスキルは、『技師の欠片』『技師の卵』『初心者(ノービス)卒業』『スーパールーキー』『下級者(ビギナー)卒業』『期待の新星』『中級者(ミドル)卒業』『飽くなき探求者』『上級者(エキスパート)卒業』『頂きを臨む者』『特級到達者(マスターランカー)』『天霊を謳う者』。

道具は主に大量のポーションと、ちょっとしたいらない道具類に、少しの魔道具。

スキルポイント類は旨いが、道具は総合的に見て大した物は無い。

そうこう確認してる内に、全員の釣り上げが完了した。

飛翔系魔法の一種である浮遊を空間指定で掛ける。範囲がわかりやすい様にシャボン玉みたいな境目も作っておいた。

「やぁ皆、ようこそアナザーの世界へ」

ニコーっと微笑んでみせる。

そんな僕に、マシロは平然とニコリと微笑み返した。

「これはご丁寧に……でも怖がる子もいますから突然はやめてくださいね」

言うや、直ぐ近くで固まっているシオリの頭を撫でた。

「それはお姉ちゃんの役目なのにぃ……」

「……流石マシロ姉さんですね。こんな状況でも他の子を気に掛けられるなんて」

シキナが複雑な顔で体を揺らし、キリカは尊敬の目でマシロを見上げる。

一方悲鳴を上げたチアキは顔を赤らめてバツが悪そうにそっぽを向き、カオルは楽しかった様で地上や浮遊都市を見回している。

取り敢えず鑑定。

シロ LV1

キリサメ LV1

クン LV1

ミカ LV1

ナツナ LV1

シハル LV1

それぞれ、マシロがマを抜いてシロ。キリカがキリを取ってキリサメ。カオルはそのままクン。チアキは晶から3日でミカ。シキナは夏生まれだからナツナ。シオリは春生まれだからシハル。

皆ちゃんと本名を少し改変している。

また、シロは髪の色を白、瞳は何故か赤にしており、キリサメは水色で瞳も水色。

クンはそのまま黒髪黒目でミカは瞳だけ黄色。

ナツナは赤と青のオッドアイに金髪で、シハルはクン同様そのままだけど、体のサイズを弄って主に身長と胸部を拡張している。お姉ちゃん子だからナツナに近付けようとしての事だろう。

ささっと鑑定観察をした所で、クンが嬉しそうにふよふよ近付いて来た。

「ユキさんお久しぶりです!」

「うん、久しぶり」

「これって、この世界全部の所に行けるんですよね!」

「フィールド制限を解除すればね」

もしくは神力を操れればね。

クンは興奮した様に辺りを再度見回し、嬉しそうに問いを重ねる。

「どれが王都ですか? アレですか?」

そう言って、クンは一番高い所に設置してあるオムニメイガスを指差したので、僕は指を立て、ぐるーりと浮遊都市を指す様に指を彷徨わせ、地上にある街を指して止めた。

「アレ」

「……ふむ、あ、森側の門の外に強そうな人達がいますね……あれがリナ姉達ですか?」

「そうだね。皆が待ってるからそろそろ行こうか」

隠密に防音を重ね、ゆっくりと降下していく。

シハルは高所が苦手らしく先程から一言も発しておらず、シロとナツナに両サイドから挟まれている。

ミカは既に安全だと理解している様で、中々見れない高所の景色を堪能し、クンはナツナと同じくゲームが好きなので、この先の事を考えて興奮している。

唯一キリサメは、興奮もしているし高所を堪能してもいるが、その上で僕の直ぐ近くを浮いている。

差し当たって自然な動きでキリサメにピトっとくっ付く。

「っ!?」

「キリサメ、この世界ではね……」

僕は皆に聞こえる様に呟いた。

「——手加減、しなくて良いんだ♪」

全員の顔は見なくても分かる。

タクやアヤ達は未だその辺り少し測りかねている様だが、直に理の本質を理解するだろう。

この世界では、誰憚る事も無い。

誰かに恐れられる事は無い。

上を見上げればキリが無く。

際限無く高みへ昇る事が許される。

彼女等は無邪気に笑っていた。