ローレンス王国、東方に位置し国境線を防衛している要塞ストールを出立してから5日が経過していた。

「カズト殿!」

俺の名前を呼ぶ声を聞きながら俺は帆馬車の上で起きる。

この5日間する事がなかったこともあり暇だった為、ずっと空を見て過ごしていたのだ。

「イオン、どうした?」

馬車の手綱を握っているのはイオンといい、ローレンス王国4神将の一人らしい。

強さの程は、神代兵器を持っていないことから4神将マーケットほどではないようだ。

「あれを!」

「ん? ……おおっ……」

俺は、イオンの言葉に聞きながら前方を確認すると無数の白い建物が視界に入ってきた。

地平線の先には城壁も見えており、城壁も白一色である。

どうやら、城壁よりも中心部の方が標高が高いらしく山なりに高くなっており、その頂上にかなり大き目の白い建造物が建っている。

あれが恐らく城なのだろう。

それにしても、建物の数が結構多い。

どのくらいの人口がいるのか確認したいところだな。

「イオン、王都ファフニールの人口はどのくらいだ?」

「さあ? 戸籍などを管理している天神龍教会なら分かると思いますが……」

「そうか……」

イオンの表情から見るに誤魔化しているようには思えない。

つまり人口関係数は、イオンなどの市民などには教えてないのだろう。

人口は、国力や産業、消費に直結するからな。

隠してる理由もそれとなく分かる。

「イオン、貴族家は何家存在している?」

「領地を持ってる貴族と持ってない貴族が貴族16家、出家している貴族が4家と言ったところでしょうか?」

と、答えてきた。

ふむ。そうすると……。

「国全体の人口としては20万人程度といったところか……。そうすると王都だと多くても10万人も人口がいればいい方だな」

俺は祖父に習った貴族家の割合からのその国の人口数をザッと計算する方法で人口の予想を立てる。

それにしても人口20万人の王国ってことは、規模としてはどのくらいだろうな。

俺の話を驚いた表情で見てくるイオンを見ながら。

「なあ、イオン。外交上問題になっているカイゼル帝国の貴族家の数は分かるか?」

俺の言葉に、イオンはしばらく思案顔をすると。

「分かっている限りでは300家近くの貴族がいると聞いた事があります」

と、答えてきた。なるほど……。

つまり簡単に言えば15倍の国力を持った相手に、ローレンス王国は侵略を受けていると言う事になるのか。

それはかなり厳しい局面だな。

人口数は陸で国同士が続いてる場合、そのまま国の力関係として左右する。

そんな国を相手にするのはローレンス王国ではかなり厳しいだろう。

だからラフラは、無理を承知に無謀なルシアル王国に同盟の打診にいったんだな。

「イオン、ルシアル王国の貴族家はどのくらいいるんだ?」

「たしか100にも満たなかった気がします」

ということは、ルシアル王国とローレンス王国を合わせてもカイゼル帝国の国力の半分にも満たないと言う事になる。

そんな状態で、よくカイゼル帝国の侵略からローレンス王国は国が守れてるなと俺は逆に感心してしまった。

これは……ローレンス王国は、かなり大変な状況に置かれているかもしれないな。