Divine Costume Holy Sword Fafnir

Exit for the school city of Isperia! (Preliminary)

ハンスムと分かれてから貿易都市ロマネ市場を見て回ったが、これと言った発見は何もない。 

あるとすれば、女性から声をかけられる事が多いくらいだ。

町の中を歩いていれば12歳くらいの女の子から20歳くらいの女性にまで声をかけられる。

一番は激しいのは、ポーションギルドの女性に、まだドラゴンの素材あるよね?ねえ、あるよね?と聞かれたりする。

その時、誤魔化すと夜の招待をしてくるほど自分を売り込んでくる。

まさしく世は俺のモテ期到来と言ったところだ。

今先ほども食堂で食事をしていると女性達に、楽しいことしない?と誘われたりしたが断った。

一応、俺にもとりあえず立場という物があるからな。

貿易都市ロマネを救った【黒の両刀使い】と言う名前で呼ばれているからな。

まぁ、時たま男が寄ってきたりするが意味が分からん。

俺が総督府の前に到着した頃にはすでに昼を過ぎていた。

そして総督府の前に、帆馬車が待機している。

何人もの冒険者風の女性達が帆馬車の周囲を警護しているように見える。

近づいていくと女性達が俺を見つけたのか近寄ってくる。

そして。

「カズトさんですか!」

――と、聞いてくる。

俺は頷きながら帆馬車に視線を向けた後に、女性冒険者達3名を見る。

一人は金髪碧眼の美女で、ビキニアーマーを装備している。

一人は黒いローブに黒いとんがり帽子、黒いブーツという黒一式の服装に身を包んだ赤髪の女性。

そして最後の一人はとても胸の大きい青い髪をした青いシスターの服を着た女性であった。

「ああ、そうだが君達は?」

「あ、紹介が遅れました! 私、このたびカズトさんの護衛を務めさせて頂きますフローラと申します」

シスターの女性が俺に頭を下げながら答えてくる。

そして俺の顔を見ると表情を赤く染めながら――。

「あとこの二人が同じ冒険者パーティの仲間で、戦士のフェンネルと黒い服装なのが魔法師のミントです」

「なるほど……俺の名前はカズトだ。でも道中の旅だけなら一人で十分だぞ? 馬さえ貸してもらえば後は人で移動できるし」

「ええ! それは駄目です! カズトさんは婿ゆうぼ……「カズト様は、冒険者ギルドに多額の支援をしてくださったとギルドマスターから聞いておりますので、ぜひ冒険者ギルドに入ってではなくて誘ってじゃなくて恩を返すようにと言われているのです」……」

最初に話していたシスターであるフローラの口を塞ぐと戦士のフェンネルが何度も言いなおしながら理由を述べてきた。

つまり、冒険者ギルドは俺に冒険者登録してほしくて護衛を自主的につけたってことか……まったく彼女達も災難だな。

女性だけなら女性だけでパーティを組んで冒険者活動をしていた方が楽だろうに。

まぁ彼女らも仕事だから仕方無く受けたのだろうし、追い返すと仕事を奪ってしまう事にもなる。

「分かった。アルト公国までの護衛を頼んだぞ? 俺はお前達を一端の戦士として扱うからな」

俺は握手のつもりで手を差し出す。

すると彼女らは顔を真っ赤に染めてから3人とも思いつめた表情で俺が差し出した手を握ってきた。

「さて、それでどう行く?」 

おれの質問に魔法師ミントが袖から一枚の包みを取りだすと広げてみせてくる。

※アルトラス大陸中央部

「冒険者ギルド長から、地図が貸し出されるのは稀なのですが……これを見てください」

俺は、ミントが広げてきた地図を見る。

するとミントが地図上の貿易都市ロマネを指さしたあとに指を動かしていく。

「まずは、貿易都市ロマネから北上します。その後に東に向かいます。途中でローレンス王国とアルト公国の国境を越えた後、学園都市イスペリアに向けて東にひたすら移動を続ける形になります。到着予想は一カ月後ですね」

ミントの説明に俺は頷きつつ。

「分かった。それで荷物は?」

「はい、道中に宿場がいくつかありますので一週間分の食料を積んであります。水は、私が出せますので問題はありません」

ほう……ずいぶんと旅慣れているな。

「分かった。よろしく頼む」

俺が頭を下げると3人とも気持ちのいい返事をしてきた。

そして帆馬車に乗り込もうとすると荷物が大量に積んであり、相当狭い。

座る場所の確保だけで大変そうだ。

「フローラ!」

「はい! なんでしょうか?」

フローラが元気よく帆馬車の中を覗いてくる。

「この荷物だがアイテムボックスに仕舞ってもいいか?」

「はい、構いませんが。アイテムボックス持ちの方はどんなに容量の大きい方でも武器一本程度と聞いています。それだと、ほとんど意味がないと思いますけど?」

「そうなのか?」

「はい」

「なら、入れさせてもらうぞ?」

俺は帆馬車に積んである食料品、野営用品を全部アイテムボックスにしまっていく。

最初は興味ありげに見ていたフローラの顔色が食料品を半分まで入れた段階で驚きの表情に変わり全部入れた辺りで口を大きく開き野営用品を全部入れたあたりで両掌を叩いて『これは超優良物件です!』と力強く言っていたが意味が分からない。

全部をアイテムボックスに入れると、いつの間にかフローラだけではなくフェンネルやミントまで帆馬車内を覗きこんできていた。

「どうかしたのか?」

俺の言葉に3人とも『なんでもありません!』と言って帆馬車に乗り込んで話合っている、そしてフェンネルが落胆した態度を見せたあと――。

「それで出発します!」

フェンネルが従者として馬を操る事になったようで馬車は走りだす。

10分ほどで貿易都市ロマネの防壁を抜けると、北に向けて馬車は本格的に走りだした。