Divine Costume Holy Sword Fafnir

Buried History (22)

雷を纏った暴風が、限られた空間内を蹂躙し終えた後、俺達を襲ってきた自動人形たちは、動きを停止させていた。

「フェンネル。今の内に頭部を破壊するぞ!」

「――は、はい!」

俺の指示に、フェンネルが腰からブロードソードを抜くと近くの自動人形の頭部に向けて切っ先を振り下ろした。

振り下ろされた切っ先は、自動人形の頭部を貫き破壊する。

一瞬だけ四肢を動かせたあと、自動人形は活動を完全に停止させた。

「カズトさん、一体何をしているんですか?」

フローラが、首を傾げながら話しかけてくる。

「ああ、神代文明時代の魔物は、頭部が弱点なんだよ」

「頭部がですか?」

答えてきたフローラの言葉に俺は頷く。

「神代文明時代の魔物の頭部には、外敵を感知するセンサーが備え付けられていて、処理速度を高めるために頭部に体を動かすためのコアが集約されている。それに神代文明時代の自動人形は電気で動いているからな。高電圧で一時的に四肢への伝達回路を遮断することができるんだ」

「カズトさんが言ってることが難しすぎて、良く分かりませんけど……カズトさんが使われる技は、神代文明時代の遺物を相手にするには最適ですね」

「そういえば、そうだな……」

生体電流を利用した桂木神滅流の技は、たしかに対生物にも無類の破壊力を誇るが、それ以上に、祖父から聞いていた神代時代の遺物への効果の方が、言われてみれば高い気がする。

祖父の話によると神代文明が滅んでからかなりの時間が経っているらしいから、それは偶然だとは思うが――。

「さてと……これで最後だな――」

俺は、最後の自動人形の頭部を破壊する。

周りに転がっている自動人形の数は全部で43体。

「思ったよりいたな」

俺は、壊れた自動人形をアイテムボックスにしまいながら独り言を呟く。

そんな俺の様子を3人が唖然とした表情で見てきている。

「どうかしたのか?」

「カズト、どうして危険なものを持ってかえる?」

「危険な物?」

「そう、時々動くことがある。その時に怪我人が出るときがある。だから、その場に放置が基本」

「なるほど……。それは、頭部を破壊しないからじゃないのか?」

「頭部を破壊すると、そういうのは無くなる?」

「無くなるかどうかは知らないが、俺は完全に活動を停止したかどうかを感じることが出来るからな。だから問題ないと思うが――。これで自動修復システムみたいな物があったら困るな……」

「自動修復システム?」

ミントが、俺の言葉を噛み砕くように口にしているが、まぁ分からないだろうな。

神代文明時代には、ナノマシンという細胞単位の機械が存在していたってことを知らないとな……。

ただ、ナノマシンはあくまでも機械である以上、動力が必要になる。

倒したあと確認したが襲ってきた自動人形たちには、そう言った動力である電気が循環している様子はなかった。

「まぁ古い話だ」

「カズト、きちんとした説明を求む!」

「今度な。それよりも遺跡を調査した方がいい。もしかしたら俺達の潜入が、自動人形経由で送られて居るかもしれない」

「送られている? カズトは、どうして……そんなに詳しい?」

「いや、どうしてと聞かれてもな……。俺だって祖父から教えられただけだし……」

「……私、気になる」

俺の服裾をミントが掴んできながら聞いてくるが、俺だって祖父をそんなに知っているわけではない。

正直、あまり突っ込まれても困る。

「ミント、遊んでないでさっさと進もう」

「――くぅ、残念」

フェンネルの言葉に、ミントは悪態をつきながら離れていった。

「助かった」

「問題ないです。それよりも、ミントは知りたがりですので、嫌ならきちんと拒絶しないと駄目です」

「そうだな、気をつける」

俺はフェンネルの忠告に頭を下げると道が続いてる方向へと視線を向けると先は暗闇に閉ざさされている

先に進むにつれ、少しずつ壁のタイルの色が変わっていく。

「これはなんでしょうか?」

タイルに描かれている絵を見ながらフローラは、俺の方をチラリと見て話しかけてくる。

「俺だって、何でも知っているわけじゃないんだが――」

「でも、カズトが一番知っている」

「まぁ否定はしないが……」

ミントの言葉に溜息をつきつつ、フローラが指差している絵を見る。

「これは……、飛行機だな」