Divine Costume Holy Sword Fafnir

Aristocratic unrest (13)

「まぁ、身内擁護が入るのは仕方ないことだが――、俺の相手なんかをしていていいのか? 貴族が反乱を起こしたんだろ? まぁ、内乱とも言うが――」

「……くっ」

悔しそうな表情を見せるエルベストを尻目に、ルメリアと共に城壁から飛び降りる。

どうやら、本当に貴族の鎮圧の重要らしく俺達を見逃すようだ。

桂木神滅流:疾風雷神を発動させ身体能力を数十倍まで跳ね上げつつ、数十メートルは下の地面の上に降り立ったところで、こんどは落ちてきたルメリアを抱きとめる。

重力魔法で落下速度を軽減させたのだろう。

殆ど重さを感じることは無かった。

俺は、両手でルメリアを抱きしめ身体強化をしたまま城内から出る。

「ねえ? カズト君」

「――ん?」

「アリスさんを置いてきたけどいいの?」

「良いも何もアリスは元々、カイザルドに用事があるような素振りだったからな。少なくとも厳那と戦う俺達とは一緒に居ない方がいいだろ」

「そう……」

短い間とは言え一緒に旅をしてきたのだ。

アリスの事が気にならないといえば――、それは嘘なのだろう。

特に、ルメリアの場合は人間とは仲良くできないからな。

人間とは違う魔神族だと――、その正体がバレると問題にもなるだろうし。

スラム街から、一般の生活区――、つまり市民が暮らすエリアに入ったあとは大通りを南へと進む。

「人が全然出歩いてないわね」

「そうだな。おそらく――」

「貴族が反乱を起こした情報が市井に出回っているという事かしら?」

「可能性は高いな」

普通なら混乱を避けるために、ある程度は情報を隠蔽するような物だが――、建物の戸も閉まっていて息を殺すかのように建物の中に隠れているのを見ると、情報は既に町の中を駆け巡っていると見ていいだろう。

町の中をしばらく歩き――、部屋を借りていた宿「金馬の歯車」に到着する。

幸いな事に、まだ宿は営業しているのか扉が開いている。

「カウンターには誰もいないな」

「そうね……」

仕方なく桂木神滅流:神眼で周囲を確認するが――、

「宿には誰もいないぞ?」

「カズト君、これを見て」

「――ん?」

そこには、『しばらく宿を休みます。宿泊の方はご自由にお使いください』と書かれていた。

「これって……」

「ああ、どうやら宿を捨てて逃げ出したみたいだな」

「やっぱり……」

「命あっての物種だからな。逃げるという選択肢を選んだのなら、仕方ない。まぁ、問題は……、飯くらい用意していけと――」

貴族が反乱を起こしたのか、スラム街ですら食事を売る店が無くなっていた。

それに大通りを通ったのも食料の確保の為だったが、露店どころか店までもが全て閉まっていて、どうしようもない。

「まったく、面倒だな」

「そうね。でも! 貴族が反乱を起こすということは何か勝算があるのかも知れないわね」