Divine Costume Holy Sword Fafnir

Meet My Father and Mother (11) Kaizald side

王都ルゼニア近郊――、小高い岩山が見える場所で空を飛ぶ船は降りていく。

すると――、岩山の頂上――、火口に堆積して出来ていたカルデラ湖の水が枯れていくと同時に、地肌が見えてくる。

「一体、何が……」

目の前で起きている事象が理解できずにいると――、

「生きている神代文明の遺跡を起動しました」

「起動?」

「はい。貴方達、メディデータ……人間の言葉に直せば門を開閉させていると伝えた方が分かりやすいかも知れません」

「……なるほど」

水が抜けたあと、地肌を見せる火山加工がゆっくりと動いていく。

そして更に下へと続く黒く深淵なる大空洞が姿を現す。

それはまるで地の底に続く入口にようにも見える。

空を飛ぶ船は、火口へと静かに降りていき――、先ほど開閉した大地の下へと下っていく。

完全に船が元々、存在していたカルデラ湖の下まで降りたところで頭上の大地が閉まっていき――、完全なる暗闇の閉ざされたと思われた瞬間――、

「――くっ」

あまりの光量に私は、咄嗟に目を庇う。

気が付けば、周囲を眩いばかりの光が照らしている。

「これは光の魔法か……」

「いえ、これは発光現象を利用した物に過ぎません。魔法とは別の技術体系とお考えください」

「魔法とは別の……、これも神代文明の遺産という訳か……」

「はい」

眩い光ではあるが、目を焼くような物ではないのは何となく理解できた。

ただ、見る物全てが初めて見る物で理解が追い付かない。

そして――、落ち着いてきたことで周りを見る余裕が出来た。

「ま、まさか……」

周囲に見える全ての壁が鈍く光る光沢を放っている事に私はようやく気が付く。

それは、私の記憶が間違いでなければ全て鉄――。

見渡す限りの外壁――、周囲数百メートル――、高さ何キロにも及ぶ筒状の空洞が全て鉄の外壁で覆われている。

いくら鉄が量産できるようになったとは言え、見渡す景色の全てが鉄というのは、饒舌尽くしがたい物であり、神代文明時代の遺産がどれだけ素晴らしい物なのかと言う事が一目で理解出来る物であった。

船は、筒状の空間を静かに居り続け――、何百――何キロもの降下を終えたところで動きを停める。

「それでは、こちらへどうぞ」

彼女――、ユリカに案内されるように私は船から降りる。

降り立った場所――、その床も鉄で作られており、どれだけの資源を投入したのかと考えると空恐ろしい物があった。

「ユリカ殿」

彼女に声をかける者が船から降りてくる。

「何の用ですか?」

「メディデータを、神代文明の遺跡にリメイラール教会の許可も得ずに連れてくるのは協定違反と言う事はご理解していますか?」

「そうかしら? 彼は、十分に資格を満たしているわ」

「……」

「はぁ、納得してくれていないみたいね」

「こちらとしても、かなりの費用を投じていますので――」

「軍事国家ヴァルキリアスの皇帝スレインの代行である貴方の言いたい事は分かっているわ。――でも、ローレンシア大陸では、すでに神装に耐えられる王族はいないじゃないの」

「それは……」

「どちらにしても、カウントダウンは始まっているの。世界を手中に治めようと暗躍した邪神を討滅した彼が居ない以上、別の誰かが戦うのは必然なの。それに、彼が救った世界を滅ぼす訳にはいかないわ。その事に関しては、ユゼウ王国――、そしてアルネ王国の土地神も了承しているの」

「……分かりました」

男はすぐに引き下がる。

予定調和の会話であったかのごとく……、そして私の価値を観察するかのように見えてくる。

その瞬間――、鳥肌が立つ。

相当強いというのが感覚から理解出来てしまう。

それも私よりも強い。

「ロウトゥ、客人に対して殺気を放つものじゃないわ」

「分かっています。それでは、私は一足先にローレンシア大陸へと戻っておりますので、トランスポータを利用させて頂きます」

「ええ、リメイラールの今代の聖女と勇者に宜しくね」

「はい」

ロウトゥと呼ばれた男は音も立てずに姿を消す。

そして――、ユリカという女性は俺の方を見てくる。

「ごめんなさいね。彼は融通が利かないから」

「ずいぶんと親しい間柄に見えたが?」

「別に親しい訳ではないのだけれど……、まぁ――、同じ役割を与えられているから……」

「同じ役割?」

一瞬、彼女は寂しそうな瞳をした。